生活保護受給者の遺品整理はどうする?費用や相続人の探し方まで解説
近年、生涯独身で終える人が増えており、身寄りのない住人の遺品整理が問題になっています。厚労省の調査によると、年齢階級別未婚率が上昇しており、一人暮らしの高齢者が増加しています。
そのため孤独死のケースも今後増えると予測されています。今回は身寄りのない人が亡くなった場合の遺品処分やトラブル防止のポイントについて解説。
身寄りがない方の遺品整理は、法律や手続きに従い慎重に行う必要があるため、悩んでいる人は是非参考にしてください。
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生活保護受給者の遺品整理は誰に頼めばいい?
生活保護を受けている人が亡くなった場合でも、同じ様に遺品整理をしなければなりません。
しかし金銭的な余裕がない場合は、どのように対応すれば良いのかが問題になります。
ここでは、一般的に誰がすべきがについて見ていきましょう。
相続人
遺品整理の基本的な責任は相続人にあります。相続人が遺産を受け継ぐ場合、遺品整理もその一部として行う必要があります。
ただし生活保護を受けている人が亡くなった場合、相続人が遺品整理を行う経済的余裕がないことが多いです。もし相続人も生活保護を受けている場合、実質的な負担が大きくなることがあります。
連帯保証人
連帯保証人は主に賃貸契約に関連する責任を持つ人物で、遺品整理に直接的な義務はありません。連帯保証人が遺品整理の手伝いを申し出ることもありますが、義務ではないため、あくまでも任意の協力となります。
不用品回収業者
不用品回収業者は、不要な物品を処分するために役立ちます。遺品整理でも利用できますが、費用がかかるため、生活保護受給者の場合は予算的に難しいかもしれません。
費用を抑えるために、無料回収や低価格のサービスを提供している業者も探してみると良いでしょう。
遺品整理業者
遺品整理業者は、遺品整理を専門に行っている業者です。プロフェッショナルなサービスを提供し、遺品の整理や処分をスムーズに行います。
しかし、こちらもサービスに費用がかかるため、生活保護を受けている人の場合、無料または低価格で対応している業者を探す必要があります。地域の支援団体や自治体に相談し、経済的にサポートが受けられる場合もあります。
管理会社
賃貸物件の管理会社は、物件の管理や清掃を担当します。しかし借主が亡くなった場合、管理会社が遺品整理の費用まで普段する必要はありません。
通常は物件の清掃や引き渡しに関する対応が主で、遺品整理までは行わないことが一般的です。
大家
大家は賃貸物件の所有者として、物件の管理に責任があります。身寄りのない借主が亡くなった場合、最悪遺品整理の費用を負担しなければなりません。
生活保護受給者が亡くなった場合、その後の各種手続きや遺品整理にかかる費用は、生活保護の補助対象外となります。これらの費用については、補助を受けることができません。
遺品整理費用は誰が負担する?
生活保護受給者が亡くなった際の遺品整理に関する費用負担については、基本的に遺族が行います。ただし相続人の有無によって変わるため注意しましょう。詳しく見ていきます。
相続人がいる場合
相続人がいる場合、遺品整理の費用は通常、相続人が負担することになります。相続人には遺産の管理や分配の義務があるため、遺品整理もその一環として考えられるためです。
しかし相続人が生活保護を受けている場合や経済的に余裕がない場合、遺品整理の費用を負担することが難しいこともあります。このような状況では、以下の対応を検討しましょう。
- 保険金などを利用する
- 遺品整理業者と相談する
遺品整理に関しては、残念ながら補助金がないのが現実です。そのため、多くの遺族が時間をかけて自分たちで遺品整理を行っています。
また一部の遺族は、諸手続きが完了した後に、故人が契約していた生命保険などの保険金を利用して、遺品整理業者に依頼するケースも。もしくはやむを得ず大家が負担するケースも少なくありません。
他にも 遺品整理業者によっては、経済的な事情を考慮して、分割払いなどに対応している企業もあります。
遺品整理は荷物の処分や整理だけでなく、室内の清掃や修繕も行わなければならず、場合によって数十万の費用がかかるケースも。他の親族や業者とも相談し、支払い方法を検討してましょう。
相続人がいない場合
通常、相続人または遺言により指定された人が相続財産の管理を行います。しかし身寄りがない場合や相続人全員が相続放棄した場合、財産を管理する人が不在となり、相続手続や遺品整理が難しくなります。
もし故人に財産がある場合、利害関係者が家庭裁判所に申し立てを行うことで、相続財産管理人を指定することができます。相続財産管理人は、財産を管理し、遺産を清算する役割を担います。
家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てるには、以下の三つの要件を満たす必要があります。
利害関係者である
財産の清算を管理するためには、債権者などの利害関係者が必要です。例えば賃貸物件の場合、大家が利害関係人にあたります。
財産がある
財産がほとんどない場合、相続財産管理人を選任しても費用を賄えず、あまり意味がありません。申立人が事前に費用を負担する場合は家庭裁判所が選任することがありますが、あまり一般的ではないのが現状です。
相続人が不在
相続財産管理人を選定するには、相続人が不在でなければなりません。もし相続人が確認できる場合、相続人が直接財産を相続するため、指定する必要はないため注意しましょう。
相続財産管理人を選任するには、申し立てが必要です。申し立ては「利害関係者」と「検察官」の両方が行えます。申し立ては、故人の居住地を管轄する家庭裁判所で行い、利害関係者には、以下の者が含まれます。
- 被相続人の債権者
- 特定遺贈の受遺者
- 内縁の配偶者
- 療養看護をしていた者
国が相続財産管理人を必要とするケースでは、検察官が申し立てを行う場合もあります。その場合、財産は整理された後に国庫に帰属されます。
故人に身寄りがなく生活保護受給者だった場合は?
生活保護受給者が亡くなった場合、行政が遺産の整理や手続きを行うことはありません。身寄りがない、または連帯保証人がいない場合は、賃貸管理人(大家や管理会社)が対応しなけれはなりません。
死亡後の火葬・埋葬はどうなるの?
身寄りがなく、遺留金で火葬費用などを賄えない場合、生活保護の扶助の一つである「葬祭扶助」が適用されることがあります。葬祭扶助は、火葬などの費用を支援するものです。
生活保護受給者以外でも、供養費用を誰が負担するかは問題となることがありますが、法律上の明確な答えはなく、通常は知人や近しい人が負担します。
残留品の処分・遺品整理の処分はどうするの?
遺品整理や残留品の処分については、行政が対応することはありません。親族や連帯保証人が対応するのが一般的ですが、いない場合は賃貸管理人(管理会社や大家)が費用を負担するケースがほとんどです。
本来、賃貸管理人には支払いの義務はありませんが、次の入居者を迎えるためにやむを得ず対応するケースも多いです。また遺品整理を業者に依頼することもできますが、ある程度の費用が必要となります。
相続放棄をしたいなら遺品を処分しないこと
相続放棄とは、故人の財産や負債を全て受け取らないことを宣言する手続きです。相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人でなかったと見なされ、故人の財産や負債に対して一切の責任を負わないことになります。
ただし相続放棄をするためには、家庭裁判所に正式な手続きを行う必要があります。この手続きが完了するまでは、相続人としての責任は残ります。
遺品を処分すると、相続財産の一部が減少し、相続放棄の手続きが正しく行えない可能性があります。特に、処分した遺品が価値のあるものであった場合、相続放棄の申請が受け入れられないことがあります。
遺品の処分が行われると、相続財産が減少するため、家庭裁判所が相続放棄の申請を受け入れない可能性があるためです。手続きが完了するまでに遺品を適切に保管することが重要です。
相続放棄をする場合遺品をどうするか?
相続放棄を考えている場合は、以下の方法で対応するのがよいでしょう。相続放棄を希望する場合、遺品を処分する前に、手続きや法的なアドバイスを十分に受けることが大切です。プロへ相談すれば、トラブルを避けることができます。
遺品を保管する
相続放棄の手続きが完了するまで、遺品を適切に保管しておくことが大切です。遺品を処分せずに、相続放棄の手続きが完了するのを待ちましょう。
家庭裁判所に相談する
相続放棄の手続きや遺品の処分について不明点がある場合は、家庭裁判所や専門の法律家に相談するとよいでしょう。アドバイスももらえるため、遺産に関するトラブルも避けられます。
遺品整理業者に相談する
相続放棄の手続きが完了するまでの間、遺品整理業者に相談し、アドバイスをもうらってもよいでしょう。
遺品整理業者には「遺品整理士」と呼ばれる遺品整理に特化した資格を持つ人が在籍しています。一度、相談してみましょう。
遺品整理の費用を抑える方法
生活保護受給者の遺品整理をする際、できれば費用を抑えたいと感じるのではないでしょうか。自治体の補助や業者を上手く使えば、費用を抑えることが可能です。詳しく見ていきましょう。
葬祭扶助を申請する
生活保護受給者や低所得者の場合、遺品整理の費用を抑えるために「葬祭扶助」を利用することができます。
葬祭扶助は、生活保護制度の一環として提供される援助で、火葬費用や葬儀に必要な最低限の費用をカバーします。
業者に依頼するときは相見積もりを取る
遺品整理を業者に依頼する際、複数の業者から相見積もりを取るとよいでしょう。業者によって料金が異なるため、相見積もりを取ることで費用を比較し、納得できる価格でサービスを受けることができます。
出来る範囲で自分でやる
遺品整理を完全に業者に依頼するのではなく、自分でできる範囲の作業を行うことで、費用を大幅に抑えることができます。例えば、以下のような作業を自分で行うと良いでしょう。
整理整頓
遺品の仕分けや整理を自分で行い、不要な物品を分類します。業者に依頼する際の作業量が減り、費用が抑えられます。
不要物の処分
不要な物品を自分で処分することで、業者に依頼する費用を抑えられます。リサイクルショップや廃品回収サービスを利用するのも一つの方法です。
掃除
部屋の掃除や遺品の梱包作業を自分で行うことで、業者に依頼する作業量を減らし、費用を節約できます。自分でできる作業を増やせば、遺品整理の総費用を大幅に削減できるでしょう。
生活保護受給者の遺品整理は慎重な対応が必要!まずは相続人を探そう
身寄りがない方が亡くなった場合の対応は、法的な手続きや費用の負担が関わるため、慎重に進める必要があります。まずは法律の専門家に相談し、不安や悩みを軽減しましょう。
エコトミーでは事情のある遺品整理も相談に乗ります。予算や作業期間など、どんなことでもお気軽にご相談ください。